以前も記載致しましたが、電子帳簿保存法の改正は主に
①電子帳簿保存の条件緩和
②スキャナー保存の条件緩和
③電子取引のデータでの保存の義務化
の3つがありますが、今回は②スキャナー保存の条件緩和を詳しく解説していきます。
1. そもそもスキャナー保存ってなに?
全国に店舗や拠点のある会社では、『各拠点に届いた請求書やその月に受領した領収書をまとめて本社に郵送する』という作業を毎月されているところがほとんどでご苦労されているのではないでしょうか?
また、大部分の拠点が複数ない事業者にとっても、請求書をノートなどに綴り整理する作業は時間が取られる作業の一つだと思います。
そんな作業の工数を大幅に削減する事ができる制度が『スキャナー保存』です。
スキャナー保存は、従来紙で受領した請求書や領収書を整理し綴っていたところを、その原本をスキャンし、特定のクラウドにアップロードすることで紙の整理及び保管が不要になるという制度で導入した場合には、非常に大きな経理業務の効率化が期待できます。
2. 今回の改正点
上記の『スキャナー保存』制度の歴史は以外にも古く2005年から制度自体は存在しておりました。
しかしながら、従前の『スキャナー保存』制度は、非常に複雑な制度で実際に経理処理を担当する経理部等が大変なことに加えて、実際にスキャナー保存を実行する営業職などの現場の方々に対しても大きな負担となっており、2020年6月時点においてスキャナー保存制度の申請を行っていた事業者数はわずか4000社程度にとどまっておりました。(これはすなわち日本の法人の0.15%しか導入できないほど複雑な制度だったということです。)
そのことを反省し今回の大改正では、従来の複雑過ぎた要件(詳細は下記の図をご参照下さい)を下記の通り簡便化されました。
①スキャナー保存に係る事前申請の廃止
②請求書・領収書への自署廃止
③スキャンデータへのタイムスタンプの付与期限を3日から最長2ヶ月に延長
④適正事務処理要件を廃止
(適正事務処理要件:相互けん制、定期的な検査、再発防止策の社内規程整備などの非常に手間になる要件)
⑤検索要件の簡便化
(取引年月日その他の日付、取引金額及び取引先を検索できればOK)
3. 実際に『スキャナー保存』を導入するにはどうしたらいいの?
上記の改正に伴い2022年1月以後に開始する事業年度については、上場企業などの大企業以外の中堅・中小企業・個人事業主でもスキャナー保存制度を導入することができるようになります。
では、具体的にどのように『スキャナー保存』制度を導入するかといえば、下記のようなステップを踏む必要があるでしょう。
①自社の『スキャナー保存』の必要性の検討
↓
②自社の請求書や領収書の処理フローの確認
↓
③自社に適したスキャナー保存用のソフトウェアの選定
(中堅以上の企業へのおすすめのソフトウェア:楽楽精算)
↓
④自社のスキャナー保存ルール・経費精算の承認フローの策定
↓
⑤自社のフローに即したソフトウェアの設定
↓
⑥社員に対するソフトウェアの研修の実施
↓
⑦『スキャナー保存』の本格導入
上記の作業を自社内のみで完結されるためには、相当の工数が係ることが見込まれます。
『スキャナー保存』の導入をご検討の方はぜひ佐田税理士事務所までお問い合わせ下さい。
『スキャナー保存』の円滑な導入をサポート致します。
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