フリマアプリの売上に税金はかかる?──非課税・譲渡所得・事業所得/雑所得の3つのルート

結論:分かれ目は金額ではなく「売るために仕入れたか」

フリマアプリやネットオークションの売上は、次の3つのルートのいずれかに分かれます。

  • 自分や家族が使っていた不用品の処分 → 原則として非課税。確定申告は不要です
  • 不用品でも、1個または1組の価額が30万円を超える貴金属・書画・骨とう等 → 譲渡所得として課税対象です
  • 売るために仕入れたものの販売 → 金額の大小にかかわらず、事業所得または雑所得です

「いくらまでなら税金がかからないのか」という金額の質問をよく受けますが、判定の出発点は金額ではなく「売るために仕入れたかどうか」です。

フリマ売上の所得区分の判定フロー。売るために仕入れたものは事業所得または雑所得、不用品のうち1個または1組30万円超の貴金属・書画骨とう等は譲渡所得、それ以外の不用品の処分は非課税で申告不要。 売るために仕入れたものですか? はい 事業所得または 雑所得 いいえ(不用品の処分) 1個または1組30万円超の 貴金属・書画・骨とう等ですか? はい 譲渡所得 (特別控除 年50万円) いいえ 非課税(確定申告は不要) 仕入れて売っている場合は、売上金額の大小にかかわらず課税対象です

なぜ不用品の処分は非課税なのか

所得税法では、自分や家族が生活のために使っている家具・じゅう器・衣服などの「生活用動産」を譲渡した所得は非課税とされています(所得税法9条1項9号)。ただし、貴石・貴金属・真珠やこれらの製品、書画・骨とう・美術工芸品などのうち、1個または1組の価額が30万円を超えるものは非課税の対象から除かれています(所得税法施行令25条)。

30万円の判定は「1個または1組」の単位で行うとされています。たとえば衣類を50点まとめて合計40万円で売っても、1点ずつが30万円以下であれば非課税の範囲内です。逆に、指輪1個の売却額が30万円を超えれば、その指輪は課税対象になります。合計額で判定するわけではない点がポイントです。

30万円超の貴金属・書画骨とう等を売った場合──譲渡所得

非課税から外れた資産の譲渡は、総合課税の譲渡所得になります。譲渡所得には年50万円の特別控除があるため(所得税法33条4項)、その年の譲渡益の合計が50万円以下であれば、特別控除の範囲内に収まります。

売るために仕入れたものを売った場合──事業所得または雑所得

たな卸資産の譲渡その他営利を目的として継続的に行われる資産の譲渡による所得は、譲渡所得から除かれます(所得税法33条2項1号)。国税庁タックスアンサーNo.3105も、資産を相当の期間にわたり継続的に譲渡している場合の所得は事業所得または雑所得になるとしています。

つまり、転売目的で仕入れて売っている場合は、最初から非課税や譲渡所得のルートには乗りません。売上が年間数万円であっても同じです。事業所得と雑所得のどちらに区分されるかはさらに別の論点で、別記事「事業所得と雑所得の境目はどこか」で詳しく扱っています。

申告が必要になるライン──住民税の落とし穴

給与を1か所から受けていて年末調整が済んでいる方(給与収入2,000万円以下)は、給与・退職以外の所得の合計が20万円以下であれば所得税の確定申告は不要とされています(所得税法121条1項1号)。

ただし、この「20万円ルール」は所得税だけの取扱いです。個人住民税には同様の規定がなく、給与所得以外の所得があれば市町村への申告が必要とされています(地方税法317条の2第1項)。所得税の確定申告をしない場合でも、住民税の申告義務は残る点に注意が必要です。

給与収入がない方の場合、実質的な目安は基礎控除の額になります。令和8年度税制改正で基礎控除は62万円(改正前58万円)に引き上げられ、加算措置を含めると合計所得金額に応じて62万円から104万円とされています(原則として令和8年12月1日施行、令和8年分以後の所得税に適用)。

「不用品だから記録は要らない」は危ない

非課税であることを説明する責任は、実際には売った側に生じます。何をいつ頃から持っていたのか、取得の経緯が分かる記録がないと、「生活用動産の処分だった」ことを示す材料がありません。

また、税務署側には、フリマアプリ等のプラットフォーム事業者に対して取引情報の報告を求める法的な仕組みがあります(国税通則法74条の7の2)。手元に記録がなくても、取引履歴は先方に残っています。国税庁が公表した令和6事務年度の調査状況では、シェアリングエコノミー等の新分野の経済活動に対する調査は1,155件、1件当たりの申告漏れ所得金額は1,595万円と、実地調査全体の平均(1,486万円)を上回っています。ゲーム機やスマートフォンの転売収入を申告せず、売上関係の書類だけを破棄していたことが隠蔽と認定されて重加算税が課され、所得税7年分で約7,600万円の申告漏れを指摘された事例も公表されています。

実務ではどう見るか

実務の判断で重要なのは、金額ではなく「売るために仕入れたか」という実態です。形式や金額の見せ方をどう整えても、実態が仕入販売であれば非課税を主張する余地はありませんし、逆に本当に不用品の処分であれば、売却額が大きくても慌てる必要はありません。ただし、その説明を裏付けるのは記録です。プラットフォーム上の取引履歴に加えて、売った物の取得時期や経緯が分かる程度のメモは残しておくことが望まれます。

まとめ

  • 不用品の処分は原則非課税。ただし1個または1組30万円超の貴金属・書画骨とう等は譲渡所得
  • 売るために仕入れたものは、金額にかかわらず事業所得または雑所得
  • 所得税の20万円ルールが使えても、住民税の申告義務は別に残る

当事務所では、ネット販売・副業に関する所得税のご相談を承っています。ご自身のケースがどのルートに当たるか迷われる場合は、お気軽にお問い合わせください。

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